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『牡丹の香り』ミッシェル・アンリ

michel-henry

『牡丹の香り』
ミッシェル・アンリ(Michel Henry)
油彩
60号

お問合せ番号:MH-043

その昔、ミッシェル・アンリは、クリスチャン・ディオールの部長だったキャロルと付き合っていた。アンリは彼女に頼まれて、ミンクの毛皮に色とりどりの宝石を散りばめるアイデアの試作に協力し、クリスチャン・ディオールの研究室に通っていた事がある。その研究室には香水の開発部隊がいて、彼は必然と香水にも詳しくなった。そして、この「香りのよい牡丹」を見てほしい。描かれているのは、牡丹とコクリコだ。牡丹はバラ、ラベンダーと並んで香料の原料としてとても人気がある。60号の大きい画面いっぱいに、ブーケが描かれている。クリスタルの花瓶から牡丹の細長い葉が溢れだし、その上にコクリコの花弁と茎が描かれ、そして最上部には牡丹がピンクと白で描かれている。
白とピンクの牡丹は香りが強い事で知られている。牡丹の花は空間と溶け合っている。ミッシェル・アンリは牡丹の花を描きながら、空中に発散する花の香りをイメージして描いているのだ。香りはやがて空気の中に儚く消滅する。背景の赤の隙間から黄色い光が漏れていて、透明感のある白とピンクの牡丹の花に光を与えている。赤からピンクに至る同系色と白と葉の濃い色だけの少ない色数で、ブーケに立体感を与え、光と香りまで感じさせる。20世紀フランスが生んだ天才的な画家に脱帽だ。

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